健康診断や家庭での測定で「上の血圧は高くないのに、下だけ高い」と気になっていませんか。下の血圧が高い状態は比較的若い世代にもみられ、自覚症状がないことも少なくありません。
この記事では、東広島市の内科・循環器内科の佐々木医院が、下の血圧が高くなる原因、生活習慣の改善方法、受診の目安を解説します。
血圧の「下が高い」とはどんな状態?

下の血圧は「拡張期血圧」と呼ばれます。上と下の両方を確認し、測定場所に応じた基準で判断することが大切です。
血圧の「上」と「下」が表すもの
血圧の「上」は、心臓が収縮して血液を送り出すときの圧力で、収縮期血圧と呼ばれます。「下」は、心臓が拡張して血液を受け入れている間の圧力です。
下の血圧には、細い血管での血液の流れにくさなどが関わっています。ただし、数値だけで血管の硬さや原因を特定できるわけではありません。
下の血圧はいくつから高い?
高血圧の診断基準は、診察室では上が140mmHg以上、または下が90mmHg以上です。家庭血圧では、上が135mmHg以上、または下が85mmHg以上が目安になります。1回の測定だけで診断せず、繰り返し測った値や家庭血圧の平均を確認します。
診察室で下が80〜89mmHgの場合も、上の血圧が140mmHg未満であれば「高値血圧」に分類され、生活習慣の見直しが必要です。これらは診断・分類の基準であり、治療中に目指す血圧とは異なります。
下だけ高い「孤立性拡張期高血圧」
診察室で上が140mmHg未満、下が90mmHg以上の状態は「孤立性拡張期高血圧」と呼ばれます。比較的若い世代や中年の方にみられやすいタイプです。
上が140mmHg未満でも、必ずしも正常血圧とはいえません。下だけが高い場合も高血圧に該当するため、経過の確認や治療の検討が必要です。
年齢にかかわらず上と下の両方を確認する
若い世代では下の血圧が高くなることがあり、年齢を重ねると太い血管が硬くなって上の血圧が上昇しやすくなります。ただし、こうした変化には個人差があります。
「若いから下だけ」「高齢だから上だけ」と判断せず、年齢にかかわらず両方の数値を確認しましょう。
血圧の下だけが高くなる主な原因
下の血圧が高くなる背景には、体質や生活習慣、血管の状態などが関わっています。別の病気や薬の影響で高くなる場合もあります。
細い血管で血液が流れにくくなる
手足や内臓へ向かう細い血管が収縮すると、血液が流れにくくなります。この状態を「末梢血管抵抗が増える」といい、下の血圧が上がる要因の一つです。
上と下の血圧は、心臓が送り出す血液の量や太い血管の弾力性などにも左右されるため、細い血管の抵抗だけで決まるわけではありません。
塩分・肥満・運動不足などの生活習慣
塩分の摂りすぎは、体内に水分をため込みやすくし、血圧を上げる要因になります。肥満や運動不足も、血圧を調節する神経やホルモンの働きに影響します。
外食や濃い味付けが多い方、体重が増えた方は生活習慣を見直しましょう。ただし、下の血圧が高い原因を生活習慣だけで説明できるとは限りません。
飲酒・喫煙・ストレス・睡眠不足
飲酒量が多い状態が続くと、血圧が上がりやすくなります。喫煙は一時的に血圧を上げるほか、心臓や血管の病気のリスクを高めます。
ストレスや睡眠不足も、体を緊張させる交感神経の働きを通じて血圧に影響します。これらは下の血圧だけでなく、上の血圧にも関わる要因です。
別の病気や薬が関係する場合
睡眠時無呼吸症候群、腎臓の病気、甲状腺や副腎のホルモン異常などが原因となる「二次性高血圧」もあります。一部の痛み止めやステロイド、甘草を含む漢方薬などが血圧に影響する場合もあります。
若い年齢で強い高血圧がある方、急に血圧が上がった方、薬で下がりにくい方は原因の確認が必要です。いびきや日中の眠気、服用中の薬についても診察時にお伝えください。当院では睡眠時無呼吸の検査にも対応しています。
下の血圧が高い状態を放置するリスク
下だけが高い場合も、症状がないまま高血圧が続くことがあります。上が高くないことを理由に、放置しないことが大切です。
心臓・脳・腎臓への影響
高血圧が続くと、心臓や血管への負担が増え、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎機能の低下などのリスクが高まります。下だけが高い場合も、将来の心血管病との関連が報告されています。
ただし、数値だけで「すでに血管が傷んでいる」とは判断できません。血圧の高さや持続期間、糖尿病・脂質異常症などの有無を含めて評価します。
下の血圧を下げるために今日からできる対策
生活習慣の改善は、下の血圧が高い場合にも大切です。薬が必要な方は、生活改善と薬物療法を並行して進めます。
減塩と食事の見直し

高血圧の方は、食塩摂取量を1日6g未満に抑えることが目標です。麺類の汁を残す、漬物や加工食品を控える、調味料をかけすぎないなど、続けやすい方法から始めましょう。
野菜や果物などに含まれるカリウムは、血圧の管理に役立ちます。ただし、腎機能が低下している方や一部の薬を服用している方は摂取量の調整が必要です。カリウムを含む減塩塩やサプリメントを使う前に、医師へ確認してください。
運動と体重の管理
ウォーキングなどの有酸素運動を、1日30分程度を目安に無理のない範囲で続けましょう。時間が取れない場合は、短い時間に分けて取り組む方法もあります。
肥満がある方は、食事と運動を組み合わせて少しずつ体重を減らすことが血圧の改善につながります。血圧がかなり高い方や胸痛・息切れがある方は、運動を始める前に医師へご相談ください。
節酒・禁煙と睡眠の見直し
飲酒する方は、休肝日だけでなく、1回の量や全体の飲酒量を減らすことを意識してください。禁煙も、心臓や血管の病気を防ぐために大切です。
夜更かしを避け、睡眠時間を確保しましょう。大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘される場合は、睡眠時無呼吸症候群の確認が必要です。
血圧の下が高いときの受診の目安と当院の検査
家庭で測った血圧を記録すると、診断や治療方針の判断に役立ちます。高い値が続く場合は、生活改善だけで様子を見続けずに受診しましょう。
受診を検討する目安
次のような場合は、内科・循環器内科でご相談ください。
- 家庭血圧の平均で、下が85mmHg以上ある
- 健康診断で下が90mmHg以上を指摘された
- 安静にして測り直しても、下が100mmHg以上になることが続く
- 頭痛・めまい・動悸・息切れなどを伴う
- 大きないびきや日中の強い眠気がある
頭痛やめまいなどは、高血圧以外でも起こります。血圧の数値と症状をあわせて確認することが必要です。
緊急に対応が必要な場合
上が180mmHg以上、または下が120mmHg以上で、安静にして測り直しても高い場合は、症状がなくても速やかに医療機関へ連絡してください。
胸の痛み、強い息苦しさ、突然の激しい頭痛、片側の手足の麻痺、ろれつが回らないなどの症状がある場合は、血圧の数値にかかわらず119番で救急車を要請してください。通常の診療時間まで待つ必要はありません。
家庭血圧の正しい測り方
上腕式の血圧計を使い、朝は起床後1時間以内の排尿後・朝食前・服薬前、夜は就寝前に測ります。椅子に座って1〜2分安静にし、腕を心臓の高さに保ってください。
1回の機会に原則2回測り、両方の値を記録します。5〜7日程度の朝・夜それぞれの平均を確認し、記録を受診時にお持ちください。極端に高い値や強い症状がある場合は、記録がそろうまで受診を待たないでください。
当院で行う検査
当院では、日本循環器学会の循環器専門医である院長が、家庭血圧の記録、症状、生活習慣、服用中の薬などを確認します。必要に応じて血液・尿検査や心電図などを行い、腎機能や心臓への影響を調べます。
心臓超音波検査や血圧脈波検査も、状態に応じて実施します。血圧脈波検査は血管の硬さなどを評価する検査で、下の血圧による影響だけを特定するものではありません。動悸などがある場合には24時間ホルター心電図を用い、二次性高血圧が疑われる場合は必要な検査や専門医療機関への紹介を検討します。
よくある質問
下の血圧について、薬の必要性や測定値の見方など、よくある疑問にお答えします。
下の血圧が90mmHgだと、すぐに薬が必要ですか?
1回の測定値だけでは、薬の必要性は決まりません。繰り返し測った血圧や家庭血圧、合併症、心臓・腎臓への影響を確認して判断します。
血圧が高い方や合併症のリスクが高い方は、生活改善と同時に薬を始める場合があります。「まず数か月は生活改善だけ」と自己判断せず、再評価の時期や治療方針を医師と確認してください。
若いのに下の血圧が高いのはなぜですか?
若い方でも、体質や塩分の多い食事、肥満、飲酒、睡眠不足などが重なり、下の血圧が高くなることがあります。
一方、腎臓やホルモンの病気などが関係する場合もあります。若いから問題ないと考えず、高い値が続く場合は原因を確認しましょう。
血圧の上と下の差が小さいのは問題ですか?
上と下の差は「脈圧」と呼ばれますが、差だけで異常かどうかは判断できません。下の血圧が高い場合に差が小さくなることもあります。
上下それぞれの数値、測定条件、症状をあわせて評価します。差が小さい状態が続く場合や体調の変化がある場合は、測定記録をもとに医師へご相談ください。
測るたびに血圧が違う場合、どの数値を見ればよいですか?
1回の値ではなく、同じ条件で測った朝・夜それぞれの平均で判断します。低い値だけを選ばず、測定結果をすべて記録してください。
変動が大きい場合は、測り方や測定前の運動・飲酒なども確認します。詳しくは、当院の「血圧が安定しない原因とは?」の記事もご覧ください。
血圧の下の高さが気になる方へ
下だけが高い場合も高血圧に該当することがあります。上と下の両方を記録し、生活習慣を見直すとともに、必要な検査や治療を受けることが大切です。
東広島市の佐々木医院では、血圧の経過や検査結果を確認し、生活改善のアドバイスと必要に応じた薬物療法を行っています。土曜日は午前中に診療しており、専用駐車場は15台分ございます。健診で血圧の高さを指摘された方は、健診結果や家庭血圧の記録をお持ちください。
